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愛というゆりかごで いつも何度でも

 サザエさんのわかめちゃんのような3歳の私。左を向いて口を歪めて顰めっ面して泣いている。養父母の元に来る前の写真だとのちに聞いた。

 こちらの写真は4歳の私。パーマがかった髪で、昭和の子ども雑誌の表紙みたいに可愛い手作りのお洋服を着ている。養父母が歳を取ってからもらわれた子の私は、慎ましい静かな家庭で細やかな愛情をもらって育ったと思う。以来、口数の少ないお利口さんの顔が続く。それでも特に乳幼児期の印象はどこか深いところに長く刻印されていて、ふわふわ感とでも言える感覚に表れた。しょっちゅう転んでいたのは、そのせいかもしれない。そして薄い皮膜の中から外を眺めている感覚。

 

 そんな幼児期に、これまでバイオグラフィーワークを介して何度も何度も繰り返し出逢い直してきた。出逢う毎に、描いた絵の中の私の表情が呑気な表情に変わって、描いている私の口元が緩んでくる。

 髪を結ってくれる母の手の柔らかさや、父の膝の温かさが肌に蘇ってきて、声や眼差しが今ここにあるように私に語りかけてくれる。記憶を語る私の言葉も毎回変わる。今すでに10の七年期を過ぎて、そのどこでも同じように物語を表す言葉や理解が変化して、その度に何かから解放されてきている。とても辛かった時期の私が、びっくりするくらいしっかりどっしりして描かれているのを見ると、山を登りながら下を見る度に景色が変わっていくように、記憶も変わっていけるんだと気づく。

 この頃は、それは人生にとって大きな救いなのだな、とワークの度に安堵する。

 

(vol.20▶山下 勝子/関東/4期

※山下さんは9月スタートの「バイオグラフィーワーカー養成ベーシックコース(富士山/山梨)」のコースリーダーとしてワークを開催します。

 

※次回は、佐々木 緋紗さん(関東/1期)のリレーコラムです。どうぞお楽しみに。